テレビ朝日は、独自のメタバース空間「光と星のメタバース六本木」を構築。テレビ番組「声優パーク建設計画メタバース部」と連動させたり、企業とのタイアップを行ったりするなど、メタバースの活用を拡大している。テレビ局がメタバースを手掛けるのはなぜか。

 テレビ朝日で毎週日曜午前10時より放送されている「声優パーク建設計画メタバース部(※一部地域を除く)」は、メタバース空間と連動したバラエティー番組だ。

 テレビ朝日社屋を中心に六本木へ広がるエリアをモデルにしたメタバース空間「光と星のメタバース六本木」を構築。毎週放送後の一定時間一般に開放し、そこでアニメとのコラボやトークイベントなどさまざまなメタバースイベントを開催している。メタバースのプラットフォームには「cluster」を使用。ユーザーはアバターを使って、スマホから手軽に「光と星のメタバース六本木」(以下、メタバース六本木)に入って楽しめる。

テレビ朝日で毎週日曜午前10時より放送されている(※一部地域を除く)バラエティー番組「声優パーク建設計画メタバース部」
テレビ朝日で毎週日曜午前10時より放送されている(※一部地域を除く)バラエティー番組「声優パーク建設計画メタバース部」

 テレビ朝日では、音楽番組や映画とのコラボレーションを行ったり、バーチャルジェットコースターを建設したりなど、メタバース六本木を舞台にしたビジネスを推し進めている。テレビ朝日技術局 コーポレートデザインセンター CGデザイン室 兼 IoTvセンター アートディレクター 横井勝氏、同コンテンツ編成局 動画制作部プロデューサー 矢崎浩司氏、同インターネット・オブ・テレビジョン(IoTv)局 IoTvセンター 原田裕生氏に話を聞いた。(聞き手:日経BPトレンドメディアユニット編集委員 吾妻拓)


吾妻拓(以下、吾妻) 番組を作るきっかけは何だったのですか。

横井勝氏(以下、横井) 一番初めのトライアルは2020年5月、バーチャルのテレビ朝日社屋と六本木ヒルズ周辺のアリーナを構築してマスコットキャラクター「ゴーちゃん。」のイベントを開催したことです。それまでリアルで開催していたイベントが新型コロナウイルス禍で開催できなくなり、急きょ2カ月ぐらいで準備しました。最新テックに詳しくないような一般の参加者でもVR(仮想現実)イベントへの反応がよかったことなどから、現在のようなバーチャルシティーの初期空間を作ることになり、それが番組につながりました。

左より、テレビ朝日コンテンツ編成局 動画制作部プロデューサー 矢崎浩司氏、同技術局 コーポレートデザインセンター CGデザイン室 兼 IoTvセンター アートディレクター 横井勝氏、同インターネット・オブ・テレビジョン(IoTv)局 IoTvセンター 原田裕生氏
左より、テレビ朝日コンテンツ編成局 動画制作部プロデューサー 矢崎浩司氏、同技術局 コーポレートデザインセンター CGデザイン室 兼 IoTvセンター アートディレクター 横井勝氏、同インターネット・オブ・テレビジョン(IoTv)局 IoTvセンター 原田裕生氏

矢崎浩司氏(以下、矢崎) 番組は21年春に深夜帯で放送を開始して、22年4月より日曜午前10時からになりました。放送時間が変わったことで、子供を持つファミリー層や若年層にアピールできていると思います。

原田裕生氏(以下、原田) 番組タイトルに“建設計画”とあるように、社屋周辺のエリアをどんどん拡張して遊べるようにしていきます。例えば、22年4月にできた「EXメタバースシアター」は音楽ライブイベントを開催したり、芸人さんがアバターで漫才したりと、トライアルを行っています。

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